院長インタビュー
上御霊神社北東側の住宅地内にある、静かで落ち着いた治療院。20年以上前に開業して以来、院長一人体制にて診療を続けている『池田鍼灸接骨院』です。亡き父が営んでいた『池田医院』のあとを継ぎ、施術にあたるのは院長:池田正史。今回は町医者時代から引き継ぐポリシーと、新たな取り組みについてインタビューを受けましたので、ご紹介いたします。
この道を志したきっかけや現在に至るまでの経緯を教えてください。
以前は父親が同じ場所で『池田医院』を営んでいたのですが、幼いころから父の後姿を見て育ち、物心ついたときには「将来は治療家になりたい」と考えていました。
鍼灸柔整師の資格を取得し、資格取得後まもなく一人で『池田鍼灸接骨院』を開業する運びとなりました。
町医者時代の患者様も多く来院されることから、父のポリシーを引き継ぎながら心のこもった施術を続けていきたいと思います。
池田院長にとって、心のこもった施術とは何をさしますか。
困っている患者様が来られたら、絶対に治してあげたいと思うんです。ですから、患者様が話したいこと、伝えたいことをしっかりと受け止め、それを施術の結果として反映していくことが私のポリシーです。
患者様の話に耳を傾けなかったり、何の説明もなく施術を進めることはございませんので安心してご来院いただきたいですね。常に謙虚さを持ち、患者様のお話に耳を傾けながら施術を行うことが大切だと考えています。
問診で重視されている点を教えてください。
患者様のお話の中でも、特に重視して伺うのが生活環境。お一人なのかご夫婦なのか、もしくは核家族なのか拡大家族なのか。また、家の構造や生活状況、その延長線上でよく買い物に行くのか、人任せなのか。趣味のありなしや普段から運動をされているかなど、こと細かに聞きこむようにしています。
それは、腰の痛みであってもその原因はさまざまで、生活背景などが症状に起因していることが多いからです。
前述したように、常に患者様とのコミュニケーションを大切に、患者様のことを把握し患者様のご希望される方法を取り入れながら痛みの改善に努めています。
オーダーメイドの施術方針をとられているということですね。
その通りです。
これは東洋医学に基づく考え方ですが、たとえ同じ痛みであっても体質や原因、生活背景によってその対処が異なります。
西洋医学が表面上にあらわれている症状を治療するのに対し、東洋医学が重視するのは根本的な原因にアプローチすること。
ですので、最初の問診では患者様からのヒアリングデータをもとに、施術内容・期間の目安を考えます。
患者様によって予算や期間など重視される項目が異なるので、お一人おひとりのご希望を取り入れることも忘れません。
患者様目線を大切にされているのですね。
患者様との信頼関係を築き、施術にあたることは父が営んでいた時代から最も大切にしていることの一つです。
この診療所は入り組んだ場所にあるため、生活の動線上で来院される近隣にお住まいの患者様がほとんどです。
日々の施術が苦にならないように、お気軽にご来院いただける雰囲気作りを常に意識しておりますので、患者様に対してお話の仕方一つを取っても気を配っています。
施術をしながら日頃の悩みなども話したりし、心身ともにすっきりして笑顔で帰っていただくことが一番のやりがいですから。
池田院長が特に力を入れていることを教えてください。
先を見据えた施術に注力しています。人の体はさまざまな部位に分かれていますが、そのすべてが神経であり血管であり、筋肉や骨で繋がっています。
逆に言えば、どこか一箇所に異常が生じると別の場所にも異変が現れる可能性があるわけです。その一つが、膝と腰はワンセットという考え方です。
膝に痛みのある方は、時間を追って腰も痛くなる可能性が考えられます。逆に腰痛持ちの方は、今度腰をかばおうと変な姿勢をとることで、膝に余計な負担をかけていることがあります。その結果、原因不明の痛みが現れる・・・というわけです。
ですから施術時は、たとえ膝痛をうったえられる患者様であっても、腰へのアプローチも行います。その逆もしかりです。膝痛持ちの患者様の腰痛は原因となる膝を、腰痛持ちの患者様の膝痛は原因となる腰を施術することで、痛みを軽減することが期待できます。
また、頸椎と胸椎も縦のラインで繋がっており、姿勢に関連するパートなのでセットで考えています。
このように、先を予測して施術方針を決めていくことが、東洋医学に基づいて施術を行う私たちの使命なのです。
施術の際に心がけていることがあれば教えてください。
俗にいう“腹八分目治療”です。たとえ患者様からのご要望があっても、80%でとどめる理由は、100%施術してしまうと患者様の自然治癒力を引き出せないからです。
また当院では、肩こり体操をはじめ、患者様がご自宅でできることを宿題にさせていただいています。
それは「ご自身の体はご自身が責任を持って維持してほしい」というのが私の心からの願いですから。これからも施術と患者様の心がけという両輪で進んでいけたらと考えています。
貴院のように、失敗しない治療院に出会う方法を教えてください。
当院では患者様との対話を重視していますが、それは他院でもいえることです。ですので、初診でどれだけの時間を割いてもらえるかが、失敗しない一つのポイントになると考えます。
また、担当する術師がコロコロ変わる治療院はお薦めできません。それは、担当者がコロコロ変わるようですと、まず患者様の症状が把握しきれていない可能性が考えられるからです。
私が思うベストは、患者様お一人おひとりに合わせたオーダーメイドの施術がご提供できること。そのためにはそれなりの知識と経験が必要になると考えます。
あとは、患者様が治療院に何を求められるかです。たとえば当院の場合、受付から治療室に入った際に大きな窓いっぱいに広がる自然を見た瞬間、「リラックスできる」と喜んでいただいています。リラックスした状態だと血液の循環もよくなり、心のストレスも緩和されるので、施術後のすっきり感が期待できます。
このように、接骨院の雰囲気がお好みに合う・合わないも一つの判断基準になりそうです。
素敵な治療院や先生に出会えることを祈っています。
これからのビジョンを教えてください。
現在、上の世代の患者様が多いので、若い世代の方にも来院していただきたいと考えます。
近年は100歳以上の人口が増えるなど、高齢化社会が問題視されています。もちろん、健康であればいいのですが、病院通いになり寝たきりになるなどの生かされる未来は、できることであれば避けたいものです。
そこでご提案したいのが、健康で長生きしてもらえるベースづくり。施術を通して、姿勢の矯正や運動の推進など、生活基盤の修正を行っていきたいですね。
そのためにも「気軽に施術を受けに行くというような感覚」皆様にご来院していただけるよう、接骨院がどのような場所なのかを発信していきたいと思います。